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 静岡県浜松市浜北区 会計事務所 

不動産賃貸の確定申告

不動産賃貸の確定申告(不動産所得の確定申告)

不動産所得 不動産賃貸の確定申告とは、アパートを貸している、マンションを貸している、元自宅を貸している、駐車場を貸している場合などに必要となるものです。所得税法上は、こうした不動産から生じる所得のことを不動産所得といい、不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶(総トン数20トン以上の船舶をいう。)又は航空機の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機を使用させることを含む。)による所得とされていす。

この不動産所得の計算は
不動産所得=総収入金額ー必要経費となります。

そのため、総収入金額と必要経費はどのようにものが該当するのか分からないと正確に不動産所得の金額を計算することができません。以下では総収入金額の計算で間違えやすい項目を説明しています。

賃貸料等の収入の時期

不動産所得の総収入金額には、賃貸しているアパートやマンションの賃料がありますが、その場合その賃料を総収入金額として認識する時期が問題となる場合があります。それは通常は例えば1月分の家賃は1月に計上、2月分の家賃は2月に計上すると考えたいところですが、不動産所得の計算の原則はそうなっていないからです。以下のようになっています。

(所得税法基本通達36−5から)
不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によります。
(1)契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについては、その支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求日)
(2)省略

例えば、契約書に「翌月分を毎月末までに支払う」とされている場合には、「毎月末」が賃料を収入すべき時期となります。1月分を12月末に支払ったら、それは、1月分の収入ではなく、12月分の収入となります。1年間ずっと貸している物件であれば、1年分の収入金額は12が月分の賃貸料ですから、問題となりませんが、年の途中で新しく入居された方がいる場合には注意が必要となります。

返還を要しなくなった敷金等の収入の時期

不動産を賃貸し保証金や敷金を受け取った場合、その敷金等は将来返還するもの(預かり金)であるため、通常は収入金額には含まれませんが、以下のような場合には、収入金額に含めなくてはならない場合があります。

(所得税法基本通達36−7から)
不動産等の貸付けをしたことによって敷金、保証金等の名目により収受する金銭等の額のうち、次に掲げる金額は、それぞれ次に掲げる日の属する年分の不動産所得の計算上総収入金額に算入されます。
(1)敷金等のうちに不動産所得の貸付期間の経過に関係なく返還を要しないこととなっている部分の金額がある場合におけるその返還を要しないこととなっている部分の金額については、所得税法基本通達36−6に定める日
(2)敷金等のうち不動産等の貸付け期間の経過に応じて返還を要しないこととなる部分の金額がある場合におけるその返還を要しないこととなる部分の金額については、その貸付契約に定められたところによりその返還を要しないこととなった日

(所得税法基本通達36−6から)
不動産等の貸付け(貸付け契約の更新及び地上権等の設定その他他人に不動産等を使用させる行為を含む。)をしたことによって一時に収受する頭金、権利金、名義書換料、更新料等に係る不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、その貸付契約に伴いその貸付けによる資産の引渡しを要するものについてはその引渡しのあった日、引渡しを要しないものについてはその貸付けに係る契約の効力発生の日とされています。ただし、引渡しを要するものについて契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告しても差し支えないものとされています。

例えば、契約書に「敷金として50万円を受け取る」「そのうち30%は償却し、残額については、契約終了後に返還する」となっていれば、契約した時点で受け取った50万円のうち30%分(15万円)は返還しないことが確定(返還しなくてよくなる)しているわけですので、その時に収入金額となると考えるわけです。

次に契約書(契約期間10年)に「敷金として50万円を受け取る」「2年以内に契約を解約した場合には全額返還し、5年以内に解約した場合には80%返還、以後の解約、契約満了の場合には50%返還する」となっていれば、
貸付契約期間が2年以内⇒全額返還する必要がある⇒収入金額とならない
貸付契約期間が2年を経過した日 収入金額は10万円(50万円×20%)
⇒80%は返還する必要がある(20%は返還しなくてよくなる)⇒20%は返還しないことが確定⇒収入金額となる
貸付契約期間が5年を経過した日 収入金額は15万円(50万円×50%−10万円)
⇒50%は返還する必要がある(50%は返還しなくてよくなる)⇒追加30%は返還しないことが確定⇒収入金額となる(返還しなくいい50%分のうち、20%分については、2年を経過した日に収入金額となっているため、差額30%分が収入金額となる)
ということになります。

不動産賃貸の確定申告(総収入金額計算)のポイント

申告 上記で説明したように不動産所得の計算をする際の総収入金額の計算については、契約に基づいて計算するものがほとんどであることから、契約書等を確認することが大切です(こうしたことから、不動産所得の税務調査の際に必ず確認するは、契約書等になります。契約通りに総収入金額が計算されていない場合が多いためです。)。いくら預金通帳をみて計算しても、正確には計算できない可能性があります。あくまで、総収入金額の計算は収入すべき金額を計算する必要があり、入金があった金額を計算するわけでないからです。